専門学校での実習風景
皆さん、お散歩の練習と聞いたときに、何を練習するの?と思った方もいると思います。
犬と生活していると避けては通れないお散歩に関して、ちょっと考えてみたいと思います。
今回は、私が出向している専門学校ビジョナリーアーツでの実習風景をご紹介します。
ビジョナリーアーツは渋谷駅から徒歩5分の立地にあります。なので、ビル群、住宅地など渋谷でお散歩することは色々な問題に直面します。
特に排泄させる場所がほとんどないため、トイレマナーは学生にも十分配慮するように指導しています。また、人通りも多いので、迷惑をかけないように歩くためには注意が必要で、細い道でも車やバイクも通るので、人の安全、犬の安全を守るためには犬をコントロールすることが必要になります。
外に出ると犬を誘惑する刺激はたくさんあります。
地面の匂いや電信柱の匂いは特に他の犬の匂いが残っていることが多いので誘惑されますし、ベビーカーを押している人もいれば、台車で荷物を運んでいる人もいて、普段の生活では遭遇しないような刺激に遭遇します。道に落ちているタバコの吸い殻など食べてしまってハラハラしたりと拾い食いの問題もあります。
これらの刺激にその都度反応するようなお散歩をしていると、あっちへフラフラ、こっちへフラフラと非常に危険なお散歩になってしまいます。
では、フラフラさせないでお散歩しようとするとどうなるか・・・
ワンちゃんが引っ張る力に負けないようにリードを引っ張る ⇒ 首が締まって苦しそう(*_*)
引っ張られないように声をかけたり名前を呼ぶ ⇒ 聞く耳を持たない(-_-;)
他の犬をみたり、苦手なものを見ると吠えてしまう ⇒ 興奮したり怖がっているので何もできない
などなど
これらの問題を解決するためには、ワンちゃんの意識を自分に向けさせることが出来るかどうかで変わってきます。学生にも自分に犬の注意を向けさせるように伝えるのですが、外ではなかなかうまくいきません。そんな時、学生になぜできないかと尋ねると、「トレーニングルームではいつでも自分へ意識を向けられるんですが・・・」と返答が返ってきます。
ここが重要で、いつも練習しているトレーニング項目は、慣れ親しんだ環境で実施しているだけで、馴れていない環境や誘惑が多い環境ではその効果は薄れるということ。人でも、発表会など人前で何かを披露するような緊張する場面や遊園地など誘惑される刺激があるところでいつも通りの能力を発揮しなさいとか、勉強しなさいとかいわれても効率的にはできません。
何が言いたいかというと、その状況に置かれているときの心理状況をしっかりと理解することが重要であるということです。その時に感じている気持ちが、不安や緊張であれば落ち着かないと普段どおりの能力を発揮できませんし、誘惑されている状況では集中できません。人でもそのようになるわけで、特に、犬という生き物は、状況ごとに自分の行動を変化させます。行動を変化させる根本は心理状態です。まずは、心理状態を落ち着いた平常心にすることが最優先される事項だと私は考えています。
まずは、犬を落ち着かせる方法として何が最適であるか考えてみてください。ワンちゃんの好きなオヤツを食べさせる、ゆっくり撫でる、抱っこする、色々あると思いますが、ワンちゃんそれぞれで個性があります。まずはどんな時でもお互いに落ち着いてコミュニケーションをとるためには何をすればよいのか考えられると、その先の理想的なお散歩に必要なトレーニング項目が課題として見えてくるものだと思います。
学生達にもまずは、犬の心理を理解できるように、犬が発しているサイン(行動)をしっかり考える練習をしましょうと繰り返し伝えています。座れ伏せが何回成功したかが重要ではなくて、どのような環境を作るといつも通りのコンディションを維持できるのか考える習慣をつけることがポイントになります!
写真はトレーニングルームでのハンドラーの隣で歩く練習です。非常によくできています。徐々にこのコンディションを外の環境でも維持できるように練習あるのみ!
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